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馬が合う

来源:未知 作者:admin 时间:2009-09-15 点击:
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高校時代のクラスメート、進藤学(しんどうまなぶ)が高校の先生たちを相手に話を巣路というので、久しぶりに顔を見たいと思い、彼には何もいわずに聞きにいった。進藤とは、高校以来だから、もう十年以上の付き合いになる。目が不自由な彼は、だからといって、それを理由にいろいろなことをあきらめたくないと言って、何でもやってみて私たちを驚かせた。というよりは、何をするのにも、私たちのリーダー役だったと言っていい。すべての科目においてよくできたし、クラブは英語クラブに属していて、オーストラリア人の先生をびっくりさせるほどだった。卒業してからも、大学、大学院で勉強を続けた。そればかりか、目が悪くても、やろうと思えばどんなことでもできるはずだと、学生時代に、野球やスキーをやったり、アメリカ旅行をしたりして、そのたびにテレビや新聞にニュースを提供し続けた。
  「皆さんは、人を愛したことがありますか」と、進藤の話は、ユニークな形で始まった。「私は、女の人が大好きですから、次から次へと何人もの女の人を愛しています。私の趣味ですね、これは」ユーモア好きの彼は、そう言って聞いている人たちを笑わせておいてから、突然まじめな顔をして「でも、私と皆さんとでは、一つだけ違うことがあります」と話を続けた。
  その日の話を簡単にまとめれば、彼は目が不自由なので、目が見える人と同じように「美人」とか「ハンサム」という言葉を使っても、その意味がちょっと違う。例えば、彼にとっての「美しい人」は、自分の気にいった声をした人、そして、笑い声の「美しい」人なのだそうだ。「私の友人で、これも私と同じように目が不自由なんですが、私が好きなタイプの声が好きなのがいましてね。いつも、彼と、一人の女性をめぐって大変なんです」初めから終わりまでユーモアたっぷりの話だったが、「まあ、皆さんも、チャンスがあったら一度、一時間でも二時間でも目を閉じて生活してみてください。それまで気にもしなかったような音が意味を持ったりして、面白いとおもいますよ」という結びの言葉には、当日話を聞きに来ていた先生たちの多くが、なるほどなあというふうにうなずいていた。
  アメリカの町で、高校生たちが、授業の一部として体の不自由な人たちの立場を理解するために、車いすに乗って町を歩いてみる体験をするという新聞記事を目にしたことがある。その時には、そんなことをやってみようなどという気にはならなかったが、彼の話を聞いて、体の不自由な人の立場を理解するためというよりは、違う立場から物を見てみるのも面白いかもしれない。一度やってみてようかなと思った。
  進藤も私も酒飲みなので、時々会って一杯やりながら、あれやこれや取りとめのない話をして時間を過ごす。馬が合うというのか、何がどうというわけではないが、一緒にいると楽しいのである。この日の話を聞いて、自分と進藤が馬が合うのは、お互いの物の見方が違うからなのかもしれないと思った。目が見えるから、見えないからということではなく、違う立場から物が見られるということである。お互いが同じ物を違う形で理解し、お互いの理解の仕方を話し合うことによって、一つのことをより深く考えることができるのだ。その日も、一杯誘うつもりで会場の出口で彼を持ちながら、私は一人、そんなことを考え続けていた。
 

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