2、人か魔か
その午後には、羽柴一家総動員をして、帰朝の壮一君を、羽田空港に出迎えました。
飛行機から降り立った壮一君は、予期にたがわず、実に颯爽たる姿でした。こげ茶色の薄外套を小脇にして、同じ色のダブル・ボタンの背広を、きちんと着こなし、折り目の正しいズボンが、スーッと長く見えて、映画の中の西洋人みたいな感じがしました。
同じこげ茶色のソフト帽の下に、帽子の色とあまり違わない、日に焼けた赤銅色の、でも美しい顔がニコニコ笑っていました。濃い一文字の眉、よく光る大きな目、笑うたびに見える、よくそろった真っ白な歯、それから、上唇の細く刈り込んだ口ひげが、なんともいえぬ懐かしさでした。写真とそっくりです。いや、写真より一段と立派でした。
みんなと握手を交わすと、壮一君は、お父様、お母様に挟まれて、自動車に乗りました。壮二君は、お姉さまや近藤老人と一緒に、後の自動車でしたが、車が走る間も、後ろの窓からすいて見えるお兄様の姿を、じっと見つめていますと、なんだか、嬉しさが込み上げてくるようでした。
帰宅して、一同が、壮一君を取り囲んで、何かと話しているうちに、もう夕方でした。食堂にはお母様の心づくしの晩餐が用意されました。
新しいテーブル・クロスで覆った、大きな食卓の上には、美しい秋の盛り花が飾られ、めいめいの席には、銀のナイスやフォークが、キラキラと光っていました。今日は、いつもと違って、ちゃんと正式に折りたたんだナプキンが出ていました。
2、是人还是魔鬼
那天下午,羽柴一家人全体出动,到羽田国际机场迎接回国的壮一.
从飞机上走下来的壮一与预期想象中的样子一模一样,真是太英姿飒爽了.腋下夹着一个深棕色的单薄的外套.同色系的双排扣西装穿的很得体.折痕对称的裤子一下子看上去很长,感觉就像电影中的西方人士.
同色系的深棕色礼帽下,一张与帽子颜色几乎相同的、晒成紫铜色的、但又非常俊美的脸庞在微笑着.浓密而笔直的眉毛,闪闪发光的大眼睛,每当他笑时可看到那整齐的洁白的牙齿,然后还有上唇那剃得细细的胡子,是多么的令人难以忘怀.和照片上长的一模一样,不,比照片上还要俊俏.
和大家相互握手后,父亲母亲拥护着他,一起钻进了车子里.壮二和姐姐还有近藤老人一起乘坐在后面一辆车上.车子在开的时候,壮二透过车后面的玻璃,一直注视着哥哥的身影,一股喜悦的心情不由自主地涌上了心头.
回到家中后,大家围着壮一一起聊天,不知不觉地就聊到了傍晚.餐厅里准备了妈妈亲手做的晚饭.
铺了张新桌布的大餐桌上,摆放了一些美丽的秋季鲜花,放在各个位置上的银制刀和叉闪闪发光.今天和以往不一样,特意拿出了折叠得很正规的餐巾.
食事中は、無論壮一君が談話の中心でした。珍しい南洋の話が次から次と語られました。その間には、家で以前の、少年時代の思い出話も、盛んに飛び出しました。
「壮二君、君歯その時分、まだあんよができるようになったばかりでね、僕の勉強部屋へ侵入して、机の上を引っ掻き回したりしたものだよ、いつかはインキつぼをひっくり返して、その手で顔を擦ったもんだから、黒んぼうみたいになってね、大騒ぎをしたことがあるよ。ねえ、お母様。」
お母様は、そんな事があったかしらと、よく思い出せませんでしたけれど、ただ嬉しさに、目に涙を浮かべて、ニコニコと頷いていらっしゃいました。
ところがです、読者諸君、こうした一家の喜びは、ある恐ろしい出来事のために、実に突然、まるでバイオリンの糸が切れでもしたように、プッツリと断ち切られてしまいました。
なんという心なしの悪魔でしょう。親子兄弟十年ぶりの再会、一生に一度というめでたい席上へ、その幸せを呪うかのように、あいつの不気味な姿が、朦朧と立ち現れたのでありました。
思い出話の最中へ、秘書が一通の電報を持って入ってきました。いくら話に夢中になっていても、電報とあっては、開いて見ないわけには行きません。
壮太郎氏は、少し顔を顰めて、その電報を読みましたが、すると、どうしたことか、にわかにムッツリと黙り込んでしまったのです。
「お父様、何かご心配な事でも。」
壮一君が、目ばやくそれを見つけてたずねました。
「うん、困ったものが飛び込んできた。お前たちに心配させたくないが、こういうものがこるようでは、今夜は、よほど用心しないといけない。」
そういって、お見せになった電報には、
「コンヤショウ12ジ オヤクソクノモノウケトリニイク 二○」とありました。二○というのは、「二十面相」の略語に違いありません。「ショウ一二ジ」は、正十二時で、午前零時かっきりに、盗み出すぞという、確信に満ちた文意です。
「この二○というのは、もしや、二十面相の賊のことではありませんか。」
壮一君がハッとしたように、お父様を見つめて言いました。「そうだよ。お前よく知っているね。」
不用说,用餐时壮一自然是话题的中心.壮一接二连三的讲述了新奇的南洋故事.在聊天时,也热烈地聊到了离家出走之前的少年时代的回忆话题.
[壮二,你那时候,还只是刚刚学会走路的那会儿,闯到我的学习房间里,把我的桌子上搞得一塌糊涂.不知道什么时候你将墨水瓶打翻,然后用手去擦脸,结果把脸上涂得漆黑漆黑的,轰动了一时.对吧,母亲.]
母亲虽然已经记不清是否发生过该事情,只是眼睛里高兴的含着泪水,微笑的点了点头.
然而,读者们,因为某个可怕的事情,这一家人的喜悦心情,宛如小提琴的弦断了一样,很突然地噗哧一声被斩断了.
真是一个太没有良心的恶魔.好像是要诅咒这个幸福一样,那家伙的可怕身影朦胧地出现在父母孩子兄弟姐妹相隔十年再次相聚,一生中唯一一次的喜庆宴会上.
正在谈论往事时,秘书拿来了一份电报.就算聊天聊的再怎么投入,有电报来的话,还是要打开来看的.
壮太郎微微皱起眉头,读完那份电报后,然后不知为什么突然沉默不语.
[父亲,是不是发生了什么担忧的事情.]
壮一眼光敏锐地看着那份电报,然后询问了父亲.
[嗯,那令人头痛的家伙突然现身了.我也不想让你担心啊,可是这家似乎伙要来,我们今夜不得不严加提防.]
说完那些话后,把电报递给了壮一,电报上写到.
[今夜正十二点,来取已约定的东西方 二0].二0肯定就是[二十面相]的简称.[正十二点]是十二点整,即凌晨零点整时来盗取.其字里行间充满了自信.
[这个二0 莫非是指二十面相盗贼的意思.]
壮一吃惊地注视着父亲.
[是啊,你也知道啊.]
「下関上陸以来、たびたびその噂を聞きました。飛行機の中で新聞も読みました。とうとう、家を狙ったのですね。しかし、あいつは何をほしがっているのです。」
「わしは、お前がいなくなってから、旧ロシア皇帝の宝冠を飾っていたダイヤモンドを、手に入れたのだよ。賊はそれを盗んで見せるというのだ。」
そうして、壮太郎氏は、「二十面相」の賊について、又その予告状について、詳しく話して聞かせました。
「しかし、今夜はお前がいてくれるので、心丈夫だ。一つ、お前と二人で、宝石の前で、寝ずの番でもするかな。」
「ええ、それがよろしいでしょう。僕は腕力にかけては自信があります。帰宅早々お役に立てば嬉しいと思います。」
たちまち、邸内に厳重な警戒がしかれました。青くなった近藤支配人の指図で、午後八時というのに、もう表門をはじめ、あらゆる出入り口がぴったりと閉められ、内側から錠が下ろされました。
「今夜だけは、どんなお客様でも、お断りするのだぞ。」
老人が召使いたちに厳命しました。
夜を徹して、三人の非番警官と、三人の秘書と、自動車運転手とが、手分けをして、各で入り口を固め、あるいは邸内を巡視する手はずでした。
羽柴夫人と早苗さんと荘二君とは、早くから寝室に引きこもるように言いつけられました。
大勢の使用人たちは、一つの部屋に集まって、怯えたようにボソボソと囁きあっています。
壮太郎氏と壮一君は、洋館の二階の書斎に籠城することになりました。書斎のテープルには、サンドイッチとぶどう酒を用意させて、徹夜の覚悟です。
書斎のドアや窓にはみな、外側からあかぬように、鍵や掛け金がかけられました。本当にありの這いいる隙間もないわけです。
さて、書斎に腰を下ろすと、壮太郎氏が苦笑しながら言いました。
「少し用心が大げさすぎたかもしれないね。」
「いや、あいつにかかっては、どんな用心だって、大げさすぎる事はありますまい。僕はさっきから、新聞のとじ込みで、『二十面相』の事件を、すっかり研究してみましたが、読めば読むほど、恐ろしいやつです。」
[自从在下关登陆后,就经常听到那些传闻.在飞机上的时候我也看了报纸.终于盯上咱家了.可是,那家伙到底想要什么呀.]
[我在你离家出走之后,得到了曾经装饰过旧俄罗斯沙皇皇冠的钻石.贼说要来偷那些钻石.]
然后壮太郎先生把有关[二十面相]这个盗贼,还有那个预搞通知涵的事情详详细细地告诉了壮一.
[不过,今天晚上有你在这里,我就放心多了.另外,今天要不要你和我两个人在宝石前熬通宵来看守.]
[哎,那样可以啊.我对我的力气比较有信心.想回到家里,如能早点为家里帮上忙的话,我会很开心的.]
马上,府里就布置了森严的戒备.近藤管家脸色早已苍白,在他的吩咐下,正门以及所有进出口全部别紧密的关闭上,内侧还上了锁,虽然才只是下午8点钟.
[就今天晚上,不管什么样的客人来访,都一律回绝掉.]
老人严格吩咐佣人们.
3名不值班的警察和3名秘书还有汽车司机,彻夜分头把守各个进出口,或是准备进行府内巡逻.
羽柴夫人和早苗小姐还有壮二,则被吩咐要求早点躲入房间.
大批的佣人被集中到了一个房间内,他们似乎很害怕地在叽叽咕咕的相互低声私语.
壮太郎先生和壮一则在洋房二楼的书房里看守.书房的桌子上准备了一些三明治和葡萄酒,这些是为熬通宵准备的.
为了让贼在外面无法打开门和窗户,书房的所有门和窗户都上了锁和搭扣,简直可以说得上连蚂蚁的藏身之处都没有.
然后,壮太郎坐下来苦笑的说道.
[也许有点太虚张声势了吧.]
[不,如果是要抓那个家伙的话,不管怎么戒备都不为过.我刚才通过报纸合订本仔细的研究了一下[二十面相]的案件,越看越觉得他是一个非常可怕的家伙.]
壮一君は真剣な顔で、さも不安らしく答えました。
「では、お前は、これほど厳重な防備をしても、まだ、賊がやってくるかもしれないというのかね。」
「ええ、臆病のようですけど、なんだかそんな気がするのです。」
「だが、いったいどこから?・・・・・・賊が宝石を手に入れるためには、まず、高い塀を乗り越えなければならない。それから、大勢の人の目を掠めて、たとえここまで来たとしても、ドアを打ち破らなくてはならない。そして、私たち二人と戦わなければならない。しかも、それでおしまいじゃないのだ。宝石は、ダイヤルの文字の組み合わせを知らなくては、開く事のできない金庫の中に入っているのだよ。いくら二十面相が魔法使いだって、この四重五重の関門を、どうして潜り抜けられるものか。ハハハ・・・・・・。」
壮太郎氏は大きな声で笑うのでした。でも、その笑い声には、何かしら空虚な、空威張りみたいな響きが混じっていました。
「しかし、お父さん、新聞記事で見ますと、あいつはいく度も、まったく不可能としか考えられないような事を、やすやすと成し遂げているじゃありませんか。金庫に入れてあるから、大丈夫だと安心していると、その金庫の背中ん、ポッカリと大穴が開いて、中の品物は、何もかもなくなっているという実例もあります。それからまた、五人の屈強な男が、見張りをしていても、いつの間にか、眠り薬を飲まされて、肝心の時には、みんなぐっすり寝込んでいたという例もあります。あいつは、その時と場合によって、どんな手段でも考え出す知恵を持っているのです。」
「おいおい壮一、お前、なんだか、賊を賛美してるような口調だね。」
壮太郎氏は、呆れたように、わが子の顔を眺めました。
「いいえ、賛美じゃありません。でも、あいつは研究すればするほど、恐ろしいやつです。あいつの武器は腕力ではありません。知恵です。知恵の使い方によっては、ほとんど、この世にできないことはないですからね。」
父と子が、そんな議論をしている間に、夜は徐々に更けていき、少し風が立ってきたと見えて、サーッと吹きすぎる黒い風に、窓のガラスがことことと音を立てました。
「いや、お前があんまり賊を買いかぶっているもんだから、どうやらわしも、少し心配になってきたぞ。一つ宝石を確かめておこう。金庫の裏に孔でも空いていては、大変だからね。」
壮一一脸严肃的表情,非常担心的回答到.
[那么你的意思是说,不管界碑多么森严,贼还是有可能会来.]
[哎,虽然有点胆怯,但总觉得贼会来.]
[但是,他究竟从什么地方进来呢?......贼想要偷到宝石,首先必须要越过高高的围墙.然后,要避开众人的耳目,就算他来到这里,还必须要打破门.然后还要和我们两人搏斗一番.然而,这并不意思着结束.宝石被存放在保险柜里,如果不知道号码盘的数字组合的话,就无法打开保险柜.就算他二十面相使用魔法,他如何才能够通过四五道关口呢.哈哈哈......]
壮太郎先生大声的笑了,但笑声中搀杂着一些空洞的虚张声势的回音.
[但是,父亲,我在报纸新闻上看到,那家伙每次去时,那些认为完全不可能办到的事情,不都轻而易举地办到了吗.就有这么一个实际例子,觉得东西放在保险柜里感到很放心.但保险柜的后面却突然被开了一个大洞,里面的物品全部消失不见了.还有个例子是讲有5名身强力壮的男人在看守,但不知什么时候被人下了安眠药,紧要关头时刻,大家都在呼呼大睡.那家伙拥有根据时间和地点的不同,能想出任何方法的智慧.]
[喂喂,壮一,怎么感觉你的口气好像是在赞美贼啊.]
壮太郎先生很惊讶地看着自己的儿子.
[不,不是赞美他.但我越研究他越觉得他是个可怕的人.他的武器并不是力气,而是他的智慧.如果使用智慧的话,这个世界上几乎没有什么办不到的事情.]
父亲和儿子争论那个话题时,夜幕慢慢降临,可看见有一点起风了,突然间吹过的黑风梆梆地敲打着窗户玻璃.
[哎,都怪你过高的评价贼,害得我也有点开始担心了.我们稍微确认一下宝石吧.要是保险柜的后面有个洞的话,那可就惨了.]
壮太郎氏は笑いながら立ち上がって、部屋の隅の小型金庫に近づき、ダイヤルを回し、扉を開いて、小さな赤銅製の小箱を取り出しました。そして、さも大事そうに小箱を抱えて、元のいすに戻ると、それを壮一君との間の丸テーブルの上に置きました。
「僕は、初めて拝見するわけですね。」
壮一君が、問題の宝石に好奇心を感じたらしく、目を光らせて言います。
「うん、お前には、初めてだったね。さあ、これが、かつてロシア皇帝の頭に輝いた事のあるダイヤだよ。」
小箱のふたが開かれますと、目も眩むような虹の色がひらめきました。大豆ほどもある。実に見事なダイヤモンドが六個、黒ビロードの台座の上に、輝いていたのです。
壮一君が、十分鑑賞するのを待って、小箱のふたが閉じられました。
「この箱は、ここへ置くことにしよう。金庫なんかよりは、お前とわしと、四つの目で睨んでいる方が、確かだからね。」
「ええ、その方がいいでしょう。」
ふたりはもう、話す事もなくなって、小箱を載せたテーブルを中に、じっと、顔を見合わせていました。
時々、思い出したように、風が窓のガラス戸を、コトコト言わせて吹きすぎます。どこか遠くのほうから、激しく泣きたてる犬の声が聞こえてきます。
「何時だね。」
「十一時四十三分です。後、十七分・・・・・・。」
壮一君が腕時計を見て答えると、それっきり、ふたりはまた、黙り込んでしまいました。見ると、さすが豪胆な壮太郎氏の顔も、いくらか青ざめて、額にはうっすら汗が滲み出しています。壮一君も、ひざの上に、握りこぶしを固めて、歯を食いしばるようにしています。
二人の息づかいや、腕時計の秒を刻む音までが聞こえるほど、部屋の中は静まり返っていました。
「もう何分だね。」
「あと十分です。」
するとその時、何か小さな白いものが、じゅうたんの上をコトコト走っていくのが、二人の目の隅に移りました。おやっ、はつかねずみかしら。
壮太郎先生微笑的站起来,走到房间角落的小保险柜前,旋转着号码盘,打开保险柜的门,取出一个用紫铜制作的小箱子.然后非常小心翼翼地包着小箱子,坐到原先坐过的凳子上,然后将它放在他和壮一中间的圆桌上.
[我还是第一次看见.]
壮一似乎对这个引人瞩目的宝石感到很好奇,眼睛盯着它讲到.
[是的,这是第一次给你看.这就是那个曾经在沙皇头上闪耀过的钻石.]
打开小箱子的盖子时,闪耀着令人眼花缭乱的彩虹色彩.黄豆般大小,有6个实在是非常漂亮的钻石,在天鹅绒的座上闪闪发光.
壮太郎先生等壮一欣赏完钻石后,盖上了小箱子的盖子.
[这个箱子就放这里吧.你我二人四只眼睛盯着它,总比放在保险柜里要放心得多.]
[是的,这样比较好啊.]
两人已经讲到无话可讲了,然后围着摆放小箱子的桌子,一直面面相觑的看着对方.
有时,风时不时地梆梆的吹打着窗户玻璃.听到远处狗不停地在狂叫.
[几点啦.]
[11点43分.还剩17分钟......]
壮一看了看手表回答到.之后两人又沉默不语.观察后可发现就连勇敢的壮太郎先生的脸色也稍微有些苍白,额头上微微地冒着汗.壮一的手放在膝盖上,紧握着拳头,紧紧地咬着牙齿.
房内鸦雀无声,静到可以听到两人的呼吸声和手表一秒一秒的转动声.
[还有几分钟.]
[还有10分钟.]
此时,一个小的白色物体在地毯上滚动,这一幕映入两人视线内.哎呀,是不是一只小白鼠啊.
壮太郎氏は思わずギョッとして、後ろの机の下を覗きました。白いものは、どうやら机の下へ隠れたらしく見えたからです。
「なあんだ、ピンポンの玉じゃないか。だが、こんなものが、どうして転がってきたんだろう。」
机の下からそれを拾い取って、不思議そうに眺めました。
「可笑しいですね。壮二君が、その辺の棚の上に置き忘れておいたのが、何かの弾みで落ちたのじゃありませんか。」
「そうかもしれません・・・・・・。だが時間は?」
壮太郎氏の時間を尋ねる回数が、段々頻繁になってくるのです。
「後四分です。」
二人は目と目を見合わせました。秒を刻む音が怖いようでした。
三分、二分、一分、ジリジリと、その時が迫ってきます。二十面相はもう塀を乗り越えたかも知れません。今頃は廊下を歩いているかもしれません・・・・・・。いや、もうドアの外に来て、じっと耳を澄ましているかもしれません。
ああ、今にも、今にも、恐ろしい音をたてて、ドアが破壊されるのではないでしょうか。
「お父さん、どうか擦ったのですか。」
「いや、いや、なんでもない。わしは二十面相なんかに負けやしない。」
そうはいうものの、壮太郎氏は、もう真っ青になって、両手で額を押さえているのです。
三十秒、二十秒、十秒と、二人の心臓の鼓動を合わせて、息詰まるような恐ろしい秒時が、過ぎ去っていきました。
「おい、時間は?」
壮太郎氏の、うめくような声が尋ねます。
「十二時一分すぎです。」
「なに、一分過ぎた?・・・・・・アハハハ・・・・・・、どうだ壮一、二十面相の予告状も、あてにならんじゃないか。宝石はここにちゃんとあるぞ。何の異状もないぞ。」
壮太郎氏は、勝ち誇った気持ちで、大声に笑いました。しかし壮一君はにっこりともしません。
「僕は信じられません。宝石には、果たして異状がないでしょうか。二十面相は違約なんかする男でしょうか。」
「何を言っているんだ。宝石は目の前にあるじゃないか。」
「でも、それは箱です。」
壮太郎先生大吃一惊,不由自主地看了看后面的桌子下面.因为他看到白色物体好象躲藏到桌子下面.
[什么呀,这不是一个乒乓球吗.但是这个东西怎么会滚到这里来呢.]
壮太郎从桌子底下捡起乒乓球,并惊奇地看着它.
[好奇怪啊.会不会是壮二忘记放在这边的架子上,然后由于某些原因而掉落下来的呢.]
[也许吧......,几点了?]
壮太郎先生询问时间的次数越来越频繁.
[还有4分钟.]
两人相互对视,似乎很害怕秒针转动.
3分钟,2分钟,1分钟,时间渐渐临近.二十面相可能已经越过围墙了.可能现在正走在走廊上......,不,可能已经来到门外,一直在聆听着.
啊,会不会马上,马上就要响起那可怕的声音,门被打破呀.
[父亲,你怎么了.]
[没,没,没什么.我决不会输给二十面相的.]
壮太郎先生虽然这么说,但是他却脸色苍白,一直用双手捂着额头.30秒,20秒,10秒,那可怕的,是两人心跳一致,令人窒息的分秒时刻已经过去了.
[喂,几点啦?]
壮太郎先生呻吟的问到.
[12点过1分.]
[什么,已经过了1分钟?.......哈哈哈......,怎么样壮一,二十面相的预告通知涵一点也不可靠.宝石在这好好的.一点异常现象也没有.]
壮太郎先生昂然自得地大声笑了,但壮一却连笑都没有笑.
[我不相信.宝石真的没有异常吗.二十面相是那种违约的男人吗.]
[你在说什么.宝石不是在你面前吗.]
[但那是只箱子.]
「すると、お前は、箱だけがあって、中身のダイヤモンドがどうかしたとでも言うのか。」
「たしかめてみたいのです。確かめるまでは安心できません。」
壮太郎氏は思わず立ち上がって、赤銅の小箱を、両手で押さえつけました。壮一君も立ち上がりました。二人の目が、ほとんど一分の間、何かいように睨みあったまま動きませんでした。
「じゃ、あけてみよう。そん馬鹿な事があるはずはない。」
パチンと小箱のふたが開かれたのです。
と、同時に壮太郎氏の口から、
「アッ。」という叫び声が、迸りました。
ないのです。黒ビロードの台座の上は、まったく空っぽなのです。由緒深い二百万円のダイヤモンドは、まるで蒸発デモしたように消えうせていたのでした。
魔法使い
しばらくの間、二人とも黙りこくって、青ざめた顔を、見合わせるばかりでしたが、やっと壮太郎氏は、さも忌々しそうに、
「不思議だ。」と、呟きました。
「不思議ですね。」
壮一君も、おうむ返しに同じ事を呟きました。しかし、妙な事に、壮一君は、一向驚いたり、心配したりしている様子がありません。唇の隅になんだか薄笑いの影さえ見えます。
「戸締りに異状はないし、それに、誰かが入ってくれば、このわしの目に映らぬはずはない。まさか、賊は幽霊のように、ドアの鍵穴から出入りしたわけではなかろうからね。」
「そうですとも、いくら二十面相でも、幽霊に化ける事はできますまい。」
「すると、この部屋にいて、ダイヤモンドに手を触れる事ができたものは、わしとお前のほかにはないのだ。」
壮太郎氏は、何か疑わしげな表情で、じっとわが子の顔を見つめました。
「そうです。貴方か僕のほかにはありません。」
[那么,你的意思是说只剩下箱子,里面的钻石已经被偷了.]
[我想确认一下,在确认之前我还是不放心.]
壮太郎先生不由自主地站起来,用双手按住紫铜箱子.壮一也站起来了.两人眼睛奇怪的对瞪着,1分钟之内几乎没有动过.
[那就打开吧.这种荒谬的事情绝不可能发生的.]
啪地一声,小箱子的盖子被打开了.
同时,壮太郎先生嘴里发出了[啊]的一声喊叫声.
没有.黑色天鹅绒的座上完全是空的.历史悠久且价值二百万日元的钻石,就像是蒸发了一样,消失的无影无踪.
使用魔法
许久,两人沉默不语,只是相互看着对方那苍白的脸.终于,壮太郎先生很气愤地叽里咕噜的说到[太不可思议了.]
[太不可思议了.]
壮一也鹦鹉学舌般的叽里咕噜地说着同样的话.但是很奇怪的是,壮一完全没有表现出很吃惊,或很担心的样子.可看到他的嘴角边甚至有一丝冷笑的影子.
[门锁没有异常,而且要是有谁进来的话,我这双眼睛不可能看不到.难不成,贼就跟幽灵一样,从门的锁孔进出的.]
[确实是那样的.但就算是他二十面相,也是不可能化身成幽灵的.]
[这么说,在这个房间里可以接触到钻石的人,除了你和我之外根本没有其他人.]
壮太郎先生满脸疑惑的表情,一直盯着自己儿子的脸.
[是的,除了你或我以外没有其他人.]
文章转载:
- 凡是宜人日语学习网网友原创文章,转载一律需加作者名字!
文章评论